PAYSAGE MORIGUCHI(森口邸)|徳島・美馬市の古民家宿 リノベーション・建築設計


PROJECT OVERVIEW / プロジェクト概要
徳島県美馬市の「うだつの町並み」に佇む、明治時代の邸宅を宿泊施設へとリノベーションした「PAYSAGE MORIGUCHI(森口邸)」。重要伝統的建造物群保存地区に位置する建物を生かし、2020年にオープンした。マウストラップは、デザイン面積262.24㎡の店舗デザイン・建築設計とグラフィックデザインを担当した。
1階には受付とラウンジ、3室の客室を配置し、2階には2室を計画。全5室それぞれに異なる趣を持たせながら、町家に受け継がれてきた空間と、宿泊施設としての快適さを両立させた。歴史ある町並みに滞在し、その土地の暮らしや文化に触れる宿を目指した。
CONCEPT / コンセプト
デザインの軸は、町と邸宅が重ねてきた時間を受け継ぎ、今の滞在にふさわしい心地よさを添えること。古い建物ならではの柱や梁、木の表情を生かしながら、すっきりとした壁面や家具、柔らかな照明を組み合わせ、伝統と現代の意匠が自然になじむ空間を構成した。
客室では、解体時に姿を現した大きな梁を生かし、長い年月を感じさせる木組みを空間の主役とした。梁の形や高さ、窓から入る光など、それぞれの部屋が持つ特徴に合わせて設えを変え、同じ邸宅の中にも異なるくつろぎの場をつくっている。
庭を望むラウンジには、木枠の窓越しに緑と自然光を取り込んだ。ソファに腰を下ろし、庭の景色を眺めながら過ごす時間も、この邸宅に泊まる魅力のひとつとして計画した。
🪤TRAP POINT / トラップポイント

外観の復元では、残された文献や修復済みの建物を参照し、管轄の教育委員会と協議を重ねた。文化財保護法の趣旨を踏まえながら、虫籠窓(むしこまど)や大戸(おおと)、蔀戸(しとみど)といった伝統的な意匠を検討し、建てられた当時の町家の姿に近づけている。町並みとの連続性を大切にし、宿泊施設として新たな役割を持たせながら、歴史的な景観を受け継ぐ改修とした。

室内では、古い梁や柱の存在感を引き立てるよう、間接照明やペンダントライトを配置。木の質感や天井の広がりを柔らかな光で浮かび上がらせ、落ち着いて過ごせる明るさに整えた。客室ごとに家具や畳の小上がりなどの設えを変え、建物が持つ個性を滞在の楽しさにつなげている。
各客室の表札は、徳島の藍で染めた木の板を用いて製作。もともと庭に植えられていた、すだち、もみじ、紅輝獅子、枝垂れ桜、椿をモチーフに取り入れ、邸宅の庭の記憶をグラフィックとして残した。入口にも藍染めの暖簾を掛け、訪れた瞬間から客室へ至るまで、徳島の色とこの場所の物語を感じられるようにした。
仕掛けのある店舗を。
その土地の歴史や文化、建物が持つ個性を読み解き、
訪れる人の記憶に残る店舗・宿泊施設をデザインします。
新規出店・リニューアル・店舗設計をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
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